株式会社光本美容商事社

他店はどうしてる?美容室の価格改定、値上げの現状と成功の秘訣

近年の原材料費や光熱費の高騰、最低賃金の上昇などを背景に、多くの美容室が価格改定、特に値上げを検討せざるを得ない状況となっています。
しかし、個人で美容室を経営されているオーナー様にとっては、

「他の店はいくらくらい上げているんだろう?」
「値上げしたらお客さんが離れてしまうのでは?」

といった不安や疑問が尽きないことでしょう。

この記事では、そんな個人店オーナー様のために、
・美容室の価格改定に関する現状
・値上げしない場合の工夫
・価格改定を成功させるためのポイント

という、3つのテーマに分けて詳しく解説していきます。
他店の動向を知り、ご自身のサロンの経営判断の一助としていただければ幸いです。

美容室の価格改定、そのリアルな現状 

まず、美容室業界全体で価格改定がどの程度進んでいるのか、具体的なデータや背景を見ていきましょう。

なぜ今、価格改定が必要なのか? 

美容室が値上げを検討する主な理由は、以下の点が挙げられます。

1.コストの上昇
原材料費
カラー剤やパーマ剤、シャンプー・トリートメントといった薬剤の仕入れ価格が、メーカーの値上げや円安の影響で高騰しています。

光熱費
電気代やガス代の上昇も、サロン運営の固定費を圧迫しています。

人件費
最低賃金の上昇や人材確保のための待遇改善により、人件費も増加傾向にあります。

2.サービス品質の維持・向上
現状の価格のままでは、質の高い薬剤の使用や、スタッフの技術研修、最新設備の導入などが難しくなり、結果としてお客様へのサービス品質低下につながる懸念があります。

3.価格競争からの脱却とブランド価値向上
低価格競争から抜け出し、技術やサービスに見合った適正な価格を設定することで、サロンのブランド価値を高め、長期的な経営安定を目指す動きもあります。

他店はいくら上げている?

ホットペッパービューティーアカデミーの調査(2023年3月)によると、直近半年以内に利用したヘアサロンで「値上げがあった」または「今後予定されている」と回答したお客様は約4割にのぼります。
一方で、「値上げはない」と回答したお客様も約37%おり、サロンによって対応が分かれている状況です。

気になる値上げ幅については、同調査で「500円~1,000円未満」最も多い結果となっています。
これは、お客様の平均利用金額(女性約7,300円、男性約4,500円)に対して、おおよそ1割程度の値上げに相当すると考えられます。

値上げされるメニューとしては「カット」が最も多いようです。
以前はクーポン内容の見直しなどで実質的な値上げをするケースもありましたが、最近ではメニュー価格そのものを見直すサロンが増えています。
大手チェーンのQBハウスなども段階的に値上げを実施しています。

ただし、注意点として、2024年下半期のデータでは、値上げを実施したものの、物価高による消費者の節約志向(来店頻度の減少、オーダー内容の変更など)の影響を受け、採算が改善していない美容室も少なくないという報告もあります。


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価格据え置きでも大丈夫?値上げしない場合の工夫

様々な理由から、「今はまだ値上げはしたくない」とお考えのオーナー様もいらっしゃるでしょう。価格を据え置く場合、どのようにして利益を確保し、サービスの質を維持していくかが重要になります。ここでは、個人店でも取り組みやすい現実的な工夫をいくつかご紹介します。

コスト管理の徹底 


●薬剤使用の最適化
まずは、現在使用している薬剤の「ロス」を徹底的になくすことから始めましょう。
カラー剤の調合量、パーマ液の塗布量など、本当に必要な量を見極め、無駄なく使い切る意識が大切です。
新製品情報だけでなく、既存薬剤のより効率的な使用方法やコスト削減につながる情報を積極的に収集するのも有効です。
品質を維持できる範囲で、よりコスト効率の良い薬剤がないか検討することも一つの手ですが、安易な変更は顧客満足度低下のリスクもあるため慎重に行いましょう。

省エネ・節水の実践
電気・ガス・水道の使用量を意識し、こまめな消灯、エアコンの温度設定の見直し、節水シャワーヘッドの導入検討など、日々の地道な積み重ねが固定費削減につながります。「塵も積もれば山となる」です。

在庫管理の見直し
過剰な在庫は資金繰りを圧迫し、薬剤の使用期限切れリスクも生みます。
現在の顧客数やメニューの出数を考慮し、本当に必要な量だけを発注する「適正在庫」を心がけましょう。
定期的な在庫チェックも忘れずに行います。

消耗品・雑費の見直し
タオルやペーパー類などの消耗品も、品質を落とさない範囲でよりコストパフォーマンスの良いものがないか探してみましょう。
また、通信費(電話・インターネット)のプランや、利用しているサブスクリプションサービスなども定期的に見直し、不要な支出がないかチェックすることも重要です。

生産性・効率性の向上 


●予約管理・顧客管理の工夫
高価な予約システムや電子カルテの導入が難しくても、できることはあります。
例えば、予約電話の対応マニュアルをシンプルに作成して対応時間を短縮する、予約台帳のフォーマットを見やすく改善する、といったアナログな工夫でも効率は上がります。
顧客への連絡も、郵送DMからLINE公式アカウントやメールマガジンに切り替えれば、コスト削減と情報発信の効率化が同時に図れます。(顧客の同意は必要です)

施術プロセスの見直し
ご自身の施術工程や準備・片付けの段取りの中に、短縮できる時間や効率化できる部分がないか、客観的に見直してみましょう。
少しの改善でも、積み重なれば大きな時間的余裕を生み出す可能性があります。

時間あたりの生産性を意識する
漠然と仕事をするのではなく、「1時間あたりどれくらいの売上(または利益)を生み出せているか」を意識するだけでも、働き方は変わってきます。
どのメニューが時間対効果が高いかなどを分析し、メニュー構成や予約の取り方を工夫するヒントになります。

付加価値による単価アップ(アップセル)


●高単価メニューの強化
髪質改善トリートメントやヘッドスパなど、お客様の悩みに応える高付加価値メニューを導入・強化し、客単価アップを目指します。

店販の促進
ホームケア用商品など、お客様の髪質やライフスタイルに合った商品を「プロの視点」から提案し、購入につなげます。
無理強いではなく、お客様のメリットを伝えることが重要です。

セットメニューの工夫
単品メニューだけでなく、「松竹梅」のようなランク付けや、「〇〇な悩みを持つ方向け」といった具体的なセットメニューを作ることで、お客様が選びやすく、自然な形で単価アップも期待できます。

施術以外の価値提供
こだわりのドリンクサービス、心地よい音楽、清潔でリラックスできる空間づくりなど、価格以外の部分で「また来たい」と思える満足度を高める工夫も有効です。

差別化戦略


●独自メニュー・サービスの開発
周辺の競合店にはない、自店ならではの強みを活かしたオリジナルメニューやサービス(例:短時間でできるプチスパ、特定の髪質に特化したケアなど)を開発します。

サロンの価値を伝える
自店のコンセプトやこだわり、得意な技術などを、ウェブサイトやSNS(Instagram、LINEなど無料で始められるものも多いです)を通じて効果的に発信し、「価格」以外の魅力を伝え、ファンを増やしていくことが重要です。


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価格改定を成功させるための伝え方とポイント

値上げに踏み切る場合、お客様にご納得いただき、離れていかないようにするための丁寧なコミュニケーションと準備が不可欠です。

お客様への伝え方(告知)


タイミング
値上げ実施の1ヶ月前など、余裕をもって告知するのが一般的です。

方法
店内ポップや掲示物、ホームページやSNSでの告知、DM(ダイレクトメール)やニュースレター、そしてご来店時のお客様への直接の口頭説明など、複数の方法を組み合わせるのが効果的です。
口頭で伝える際は、感謝の気持ちと共に丁寧に説明しましょう。

伝える内容
・値上げの理由
なぜ値上げが必要なのか、正直に、具体的に説明します。
「原材料費や光熱費の高騰により…」といった経済状況に加え、「今後もより良い薬剤を使用し、技術・サービスを向上させるため」といった、お客様へのメリットにつながる前向きな理由も伝えましょう。

具体的な変更内容
いつから、どのメニューが、いくらになるのかを明確に記載します。

感謝とお願い
これまでのご愛顧への感謝と、価格改定へのご理解、そして今後の変わらぬご利用をお願いする言葉を添えます。

告知文例

✅「平素より〇〇サロンをご愛顧いただき誠にありがとうございます。
さて、昨今の原材料費や光熱費の高騰を受け、誠に不本意ではございますが、〇月〇日より一部メニューの価格を改定させていただくこととなりました。
…今後も皆様にご満足いただけるよう、技術・サービスの向上に努めてまいりますので、何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます。」

✅「いつも〇〇をご利用いただきありがとうございます。
この度、お客様へより質の高いサービスを提供するため、最新の薬剤導入と技術研修への投資を行うこととなり、〇月〇日より下記メニューの価格を改定させていただきます。」

値上げ実施のタイミング

閑散期など、お客様一人ひとりに時間をかけて説明できる時期を選ぶのも一つの方法です。
・新年や、サロンの周年記念、新メニュー導入やリニューアルのタイミングに合わせると、ポジティブな印象を与えやすい場合もあります。

値上げ幅の検討

周辺の競合店の価格動向もリサーチし、自店の提供価値(技術、サービス、空間、立地など)に見合った、お客様が納得しやすい価格設定を慎重に検討しましょう。

付加価値の明確化と向上

値上げを機に、改めて自店の強みや提供価値を見直し、お客様が「この価格でも通い続けたい」と思えるような、技術力、接客、空間づくり、メニューの魅力などをさらに高める努力が必要です。

既存顧客への配慮

長年通ってくださっているお客様に対しては、値上げ後しばらくの間、据え置き価格にしたり、特別な割引や特典(例:値上げ分を一度だけ相殺できるクーポン、ポイント増量など)を提供したりすることも有効な場合があります。

値上げ後のフォローアップ

値上げ後のお客様の反応や意見(フィードバック)に耳を傾け、サービス改善に活かす姿勢が大切です。

まとめ 

美容室の価格改定は、今後のサロン経営を左右する重要な経営判断です。
値上げをするにしても、しないにしても、それぞれのメリット・デメリットがあり、絶対的な正解はありません。

大切なのは、業界の動向や他店の状況を参考にしつつも、ご自身のサロンのコンセプト、顧客層、提供している価値、そして経営状況を総合的に判断し、最適な道を選択することです。

もし値上げを選択する場合は、お客様への丁寧な説明と、価格に見合う、あるいはそれ以上の価値を提供し続ける努力が不可欠です。
価格を据え置く場合は、コスト削減や生産性向上、付加価値の提供といった工夫で、利益確保と質の両立を目指しましょう。

この記事が、価格改定に悩む個人店オーナー様にとって、少しでもお役に立てれば幸いです。
常にアンテナを張り、変化に対応していく姿勢で、ご自身のサロンをさらに発展させていってください。


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サロン様へ

昨今の経営環境の変化に伴い、価格改定は重要な経営判断の一つです。
しかし、お客様への影響や具体的な進め方に不安を感じるオーナー様もいらっしゃるのではないでしょうか。

「そろそろ価格を見直したいけど、何から始めれば…」とお考えでしたら、どうぞお気軽にご相談ください。
皆様のサロンが持続的に成長できるよう、精一杯お手伝いさせていただきます。

株式会社光本美容商事社では、創業70年以上の実績とノウハウを活かし、
四日市市をはじめ鈴鹿市・津市・桑名市のサロン様にも幅広くご提案を行っております。

施術メニューの強化や商材のご相談など、お気軽にお問い合わせください。


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